遊び方の代表例である「おままごと」は世界中で人気です。そんな「おままごと」遊びの中で、子どもたちは何を学んでいるのでしょうか。
「おままごと」とは
「おままごと」は人形にキャラクターを与え、与えられた実在の人物やアニメの登場人物などのキャラクターを演じながら会話しストーリーを進めていく遊びです。その遊びの中で子どもたちが無意識に行なっていることを書き出してみます。
・キャラクター形成
持っている人形に対してキャラクターを形成します。例えば、頼りになる女の子、料理の上手なお母さん、街を破壊する悪者、街を守るヒーローなどです。事前情報のない人形は子どもが一からキャラクター形成をします。当然一から作れるほど発達していないので、何かの模倣になりやすいです。
・キャラクター解釈
「おままごと」の登場人物では、キャラクターを自分で形成しない場合があります。アニメやゲームのキャラクター、自分や親など実在する人物、他の人がキャラクター形成したキャラクターなどです。これらと関わるとき、「おままごと」中の出来事や事前知識によって、そのキャラクターを解釈する機会が与えられます。
・会話
シチュエーションを決めて、人形同士で会話を楽しみます。お父さんお母さんの会話を真似てみたり、アニメのシチュエーションを真似てみたりとさまざまな遊び方があります。会話が主体の遊び方なので、たくさんの会話を重ねることができます。
獲得する能力
「おままごと」内にて子どもが行うことを分解することができました。次に、それぞれの要素によって子どもが獲得できる能力にはどのようなものがあるでしょうか。
・言語能力
たくさんの会話を重ねることで培われる能力です。何度でも「おままごと」に付き合ってあげましょう。または、他の子どもと遊ぶ機会を作ってあげることです。何度も言葉を発している中で、話すことに慣れ、言語能力を獲得することができます。
・自己表現 創意工夫 発想
他の人と「おままごと」で遊ぶ際に、自分で形成したキャラクターを用いる場合、そのキャラクターを他の人に伝える必要があります。このとき、疑似的な自己表現を体験することになります。
自分で形成したキャラクターを用いて楽しく遊ぶことができると、それは自己表現・創意工夫・発想の成功体験となります。十分な成功体験を積むことで、自主性・積極性を育むことができます。
・他者受容 協調性
他の人が操作するキャラクターと遊ぶときには、そのキャラクターが思い通りに動かない場合があります。それに対する行動として、「拒絶する」または「受け入れる」ことが予想されます。このときに拒絶した場合の周りの反応、受け入れた場合の周りの反応によって、どちら正解だったのか本人が判断します。衝突する必要がある場合には、きちんと衝突してあげましょう。
・探究心 理解力
他の人が形成したキャラクターを自分が操作して遊ぶ場合、そのキャラクターを読み取る必要があります。アニメやゲームを見てよく知ろうとしたり、人物の癖や行動を観察したりすることによって、理解力を育むことができます。キャラクターを理解した上で遊ぶ「おままごと」が楽しいと思えると、もっと良く知ろう!他に特徴はないかな?と探求心を獲得することができます。
「おままごと」の利点
「おままごと」には様々な能力獲得のチャンスが秘められていることがわかりました。しかし、これらは「おままごと」でないと獲得できないというわけではありません。例えば、言語能力は日常会話でも育むことができます。「おままごと」であることの利点とはなんでしょうか。
それは「おままごと」が疑似世界の性質を持っていることです。そのストーリーは現実に即しているものだとしても、実際には起こっていない事象です。そのため問題が起きた時もやり直しが効きます。失敗を恐れる必要がなく、心理的安全性が確保されている状態と言えます。
自由に失敗できる環境というのは、大人にとっても理想的な学びの場ですよね。失敗を恐れすぎている子どもが年々増えている傾向があるので、昔ながらの遊びでありながら現代社会に合った遊びと言えるのではないでしょうか。
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